WEBデザインは源泉徴収の対象?消費税との関係は?請求書はどう書く?

この記事では、私自身がWEBサイト製作の仕事を受注した際に、これって源泉徴収って必要なのかな? という疑問を感じて調べたことをまとめています。

フリーランスの場合、案件の内容にもよりますが、クライアントに源泉徴収をしてもらう必要があります。

源泉徴収の対象、計算方法、請求書の書き方などについて参考になれば幸いです。

源泉徴収制度とは

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う側が、あらかじめ支払う給与や報酬から納めるべき税金を差し引いて支払いを行う制度のことです。
基本的には、受け取り者が個人(個人事業主)である場合が対象となるため、フリーランスも対象になります。

報酬を得る場合、源泉徴収の対象になるものとならないものがあるので、それを把握する必要があります。

源泉徴収の対象となる報酬は?

国税庁のWEBサイトよると、源泉徴収の対象となる報酬は以下のように定められています。

① 原稿料や講演料、デザイン料など
② 弁護士、公認会計士、司法書士等へ払う報酬
③ 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
④ プロ野球選手、プロサッカー選手、モデル等に支払う報酬
⑤ 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払われる報酬
⑥ 宴会等で接待を行うコンパニオンへ支払われる報酬
⑦ プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
⑧ 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

参照:国税庁

フリーランスの方は、自分の仕事が対象になるのかあらかじめ確認しておきましょう。

報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合は、源泉徴収の対象となるのは 「馬主である法人に支払う競馬の賞金」のみとされています。

WEBデザインは源泉徴収の対象か?

さて、WEBデザインは上記①の「デザイン料」に含まれているのかということについてです。

国税庁のWEBサイトによると、ここでいうデザイン料は以下のことを指しているようです。

(1) 工業デザイン(自動車、オートバイ、テレビジョン受像機、工作機械、カメラ、家具等のデザイン及び織物に関するデザイン)
(2) クラフトデザイン(茶わん、灰皿、テーブルマットのようないわゆる雑貨のデザイン)
(3) グラフィックデザイン(広告、ポスター、包装紙等のデザイン)
(4) パッケージデザイン(化粧品、薬品、食料品等の容器のデザイン)
(5) 広告デザイン(ネオンサイン、イルミネーション、広告塔等のデザイン)
(6) インテリアデザイン(航空機、列車、船舶の客室等の内部装飾、その他の室内装飾)
(7) ディスプレイ(ショウウインドー、陳列棚、商品展示会場等の展示装飾)
(8) 服飾デザイン(衣服、装身具等のデザイン)
(9) ゴルフ場、庭園、遊園地等のデザイン

参照:国税庁

この中には、「WEBデザイン」というワードは出てきませんが、「デザイン」は基本的に源泉徴収の対象になります。

ここが重要なのですが、WEBサイト製作の仕事を受ける場合、「ディレクション・WEBデザイン・ライティング・コーディング・プログラミング」などが含まれることも多いと思いますが、源泉徴収の対象となるのは、その中の「デザイン」の部分だけです。
コーディングやディレクションは源泉徴収の対象外
となります。

クライアントとあらかじめ認識を合わせることが大事!

クライアントによっては、源泉徴収の対象に対しての認識がさまざまです。
ここを事前に話を合わせておかないと、あとでもめる原因にもなるので注意が必要です。

特にWEBデザインについては、所得税法内において「WEBサイトのデザイン部分が報酬は源泉徴収の対象になる」という明文はないため、源泉徴収については見積の時点で顧客と認識を一致させておくことが最も安全で確実といえます。

まず見積書を作る段階で、デザイン、コーディング、ディレクション などの項目をそれぞれ分けて記載することが大事です。

これを「WEBサイト製作」とひとまとめにしてしまうと、全額が源泉徴収の対象になってしまうのだそうです。

項目を分けて記載した上で、「デザイン費の部分だけ源泉徴収の対象をいうことでよかったですよね?」という感じでクライアントに確認をするのがよいと思います。

お金の話なので、事前に認識を合わせることはとても大事ですね。

源泉徴収の計算方法

源泉徴収の金額は、報酬の支払額が100万以上なのかそれ以下なのかによって決まります。

源泉徴収の計算方法
  • 報酬の支払額が100万以下の場合
    支払額×10.21%
  • 報酬の支払額が100万以上の場合
    (支払額-100万)×20.42%

例えば
支払額が50万の場合:50万×10.21%=51,050円
支払額が160万の場合:(160万-100万)×20.42%=122,520円
となります。

消費税は税別記載にすること

基本的に源泉徴収は、税込みの報酬金額が計算対象になります。
ただ、報酬金額と消費税が明確に区別されて記載されている場合は、税抜金額を源泉徴収の対象としても問題ないことになっています。

請求書への記載方法

源泉徴収税の金額は、請求書に必ず記載しないという決まりはないようですが、記載することで、双方の漏れを防ぐことにもつながるので記載したほうが良いでしょう。

記載する場合は、請求項目の欄に入れるのではなく、最終的な差し引きの際に源泉徴収の金額がマイナスされていることがわかるように、合計欄に記載することが多いようです。

マネーフォワードを使うと、請求書作成画面で品目ごとに「源泉徴収する」にチェックを入れれるようになっていて、チェックを入れた品目に対して源泉徴収税が算出されるので便利です。

確定申告での注意点

確定申告の際は、源泉徴収により差し引かれている金額の申告(還付申告)を忘れないようにしましょう。

確定申告では、1年間の収入や費用を基礎に正しい年間税額を算出し、これと前払いした源泉徴収税額を精算します。

すでにクライアント側で引かれている源泉徴収税を申告するのを忘れると、二重で源泉徴収税を収めることになり損をするので注意しましょう。

確定申告はフリーランスにとって荷が重い作業の一つです。
マネーフォワード クラウドやFreeeは、請求時の源泉徴収税も管理でき、確定申告書類も自動で作成できるので便利です。

源泉徴収されていない場合は確定申告をして納税が必要

源泉徴収されていない場合は、確定申告でその分の税金を収めることになります。
その際は、報酬から経費等を差し引いて申告することができます。

フリーランスの消費税について

少し消費税についても触れたいと思います。

フリーランスにも消費税納税の義務がありますが、前前年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者となり、消費税の納付が免除されます。
ただ、免税の制度があると同時に、消費税を請求する権利もあります。

請求書を作成する際、免税事業者だからということで内税にしないといけないという決まりは特にないので、源泉徴収がない取引の場合も消費税分は外税として記載するようにしましょう。

フリーランスにおすすめの確定申告ツール

フリーランスにとって税金などの知識を深める意味では、確定申告を1から自分でやってみるという経験はすばらしいと思います。
ただ、ものすごく根気のいる作業であることも間違いありません。時間もけっこうかかります。

もう一つの考え方として、お金を払って確定申告ツールを使うことで、その作業にかかる時間をお大幅に削減し業務の効率化を図る、というのもありです。

ここでは、おすすめの確定申告ツールを2つご紹介します。どちらも無料お試し期間がありますので、利用してみて使い勝手を体験してみてもいいと思います。

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