フリーランスのWEBサイト製作契約書の作成 / 初歩的な疑問を解決!

フリーランスとして仕事をしている人は、契約書を作成する機会がある人も多いと思います。

ただ、はじめて契約書を作成する場合などは、書き方がわからなかったり、いろんな疑問点が出てきたりするものです。

この記事では、私がWEBサイト製作についての契約書を作成した際に、気になったポイントについてまとめています。

参考にしていただけると幸いです。

WEBサイト製作は請負契約

請負契約と委任契約・準委託契約の違い

  • 請負契約
    • 請け負った側の仕事の完成(成果物の納品)を目的としている
  • 委任契約・準委任契約
    • 受託した側の事務、業務自体を目的としている

請負契約というのは仕事を完成させることを約束し、完成品に対して対価が支払われる契約です。要は、請負人は依頼された仕事を完成させる義務があるということです。WEBサイトの製作は通常これに当たります。

それに対して委任契約というのは、業務の完成は問わず、一定の事務処理行為を行う業務を依頼する契約です。訴訟代理などの法律行為を扱う業務を弁護士事務所に依頼する業務などがその一例です。WEBサイトのコンサルも委任に当たる場合が多いです。

WEBサイト製作の契約書ではよく「業務委託契約」という言葉が使われますが、これは請負契約と委任契約を総称する実務用語として使われています。

請負契約か委任契約かは、表題ではなく契約書の内容で判断されます。

例えば、請負契約では、注文者は「(制作者の)損害を賠償」した上で解約をすることができますが、委任契約では、両当事者がいつでも解約をすることができます。

WEBサイト製作の場合は、サイトを完成させて納品することが仕事の完了になるので、それが未遂に終わったら賠償問題になるのは当然の事ですね。

収入印紙って必要?

契約書を発行する際、収入印紙が必要になる契約と必要のない契約があります。

請負契約では収入印紙が必要

契約が「請負契約」である場合、収入印紙が必要とされています。
詳細は国税庁のWEBサイトに記載されています。
一方、委任契約は収入印紙は必要ありません。

WEBサイト製作は請負契約であるため契約書には収入印紙が必要ということになります。

収入印紙税額

収入印紙税額は契約金額によって違ってきます。

記載された契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円以上 100万円以下 200円
100万円を超え 200万円以下 400円
200万円を超え 300万円以下 1,000円
300万円を超え 500万円以下 2,000円
500万円を超え 1,000万円以下 1万円
1,000万円を超え 5,000万円以下 2万円
5,000万円を超え 1億円以下 6万円
1億円を超え 5億円以下 10万円
5億円を超え 10億円以下 20万円
10億円を超え 50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載なし 200円

参照:国税庁ホームページ

フリーランスでWEbサイト製作を請け負う場合は、高くても300万くらいかなと思うので、印紙代は1000円以下といったところですね。

ただし、上記は契約書1通あたりに必要な収入印紙税なので、発注者とクライアント分の2通作成する場合は2倍の料金がかかります。

印紙税は双方で半分ずつ負担をするやり方が多いようですが、そのあたりも負担をどうするかあらかじめ話をしておいたほうがいいでしょう。

契約書のどこに印紙を貼ればよいか

印紙は、基本的には契約書の左上に貼ります。
その上で、印紙と用紙にまたがるように消印を押します。

屋号の署名はどう書けばいい??

屋号がある場合、契約書の署名欄をどう記載しようか迷っている人は多いのではないでしょうか。

署名欄には屋号名+こと+氏名 代表+氏名

個人事業主、フリーランスの署名は、署名欄には、必ずこのように記載しましょう。

○○[屋号名] こと ○○[氏名] 代表 ○○[氏名]
例えば、屋号名が「太郎デザイン事務所」で、名前が「佐藤太郎」の場合は、
太郎デザイン事務所 こと 佐藤太郎 代表  佐藤太郎  と記載します。

なぜこのような書き方をしないといけないかというと、屋号というのは法人名と違って自由に名乗れるため個人を特定することは難しいので、氏名も記載することで個人を特定できるようにするためです。

押印は個人の実印がべスト

印鑑については、直筆の署名があれば特に押印がなくても契約自体は成立します。ただ、特に重要な契約の場合は、証拠能力が高い実印を使うのが良いと思います。また、自分だけが実印を押すのではなく、クライアント側にも、実印の押印を求めることを強くおすすめします。

管轄裁判所ってなに?

契約書の最後の方を見ると、大体の場合「管轄裁判所」や「合意管轄」についての条文があります。
これは、契約者間で紛争になった場合にどこの裁判所に訴訟を提起しなければならないかを定めるものです。

管轄裁判所とは?

管轄裁判所とは、訴訟を審理できることが許されている裁判所のことを言います。

異契約者同士の住所が近ければ、最寄りの裁判所を指定すれば良いと思いますが、東京と九州など距離が遠い場合は、少し考えないといけません。間を取って大阪にする場合もありますし、被告側の住所がある裁判所にする場合もあります。これもあらかじめクライアントに確認をする必要があります。

契約書は複数枚になる場合は製本が便利

契約書が複数枚にわたる場合は、全てのページが同一の契約書類であることを証明するために、契印を押します。

契印というのは、2枚以上の契約書が1つの連続した文書であることを証明するために、両ページにまたがって押すハンコのことです。
引用:https://www.cloudsign.jp/
そこで、製本テープを使って契約書を一つにまとめることで契印の数を減らす事ができます。

製本された契約書の場合は、表紙か裏表紙のどちらか1箇所に契印を押すだけでOKです。

契印は製本テープと書類の紙にまたがるようにしてハンコを押します。

▼こちらのサイトが参考になります。
https://www.hankoya.com/untiku/keiin.html

まとめ。

雇用されている場合と違って、フリーランスは何もかも自己責任で進めていかなければなりません。

ゆえに契約書についても内容は隅から隅まで熟知しておく必要がありますし、その上で知らないでは済まされないことがたくさんあります。

私自身も、気になる点は人に聞かれても説明できるようにとことん調べるようにしています。

フリーランスは大変ですが、がんばりましょう!!

▼フリーランスにとって重要な、源泉徴収についても記事を書いています。